第14章 生憎の雨
部屋に入れば、場地くんはベッドに寝転びながら漫画を読んでいた。
私が戻ってきたことに気付けば漫画を閉じて身体を起こした。
場地「お、千冬は?」
『なんか帰っちゃった…あ、これ千冬が持ってきてくれたみたいだよ』
私はペヤングの入った袋を場地くんに手渡す。
そしてモヤモヤした気持ちのままカーペットが敷いてある床の上に腰を降ろした。
『私…千冬を怒らせちゃったみたい』
場地「あ?怒ってねぇだろ」
『えっ、でも帰っちゃったけど…?』
場地「そりゃあ…女の裸見たら帰るだろうよ」
『…はい???』
場地くんの言葉に私は開いた口が塞がらない。
そして言ってる意味もちょっとよく分からない。
そもそも裸ではないのだか???
場地「まぁ、とりあえず怒ってねぇってこと。千冬の奴、女に免疫ねぇから恥ずかしかっただけだろ。なんつーか、エロ本見た気分」
『…あぁ…って、私エロ本じゃないんだけど?』
場地「歩くエロ本」
『そのネーミング辞めな???てか、後ろ向いてるからって言ってたのに私の着替え見てたでしょ…』
場地「見るなっつー方が無理だろ」
『…ちょっとよく分からないですね』
これが思春期ってやつか…
…てゆうか着替え見ただけで照れるって、千冬可愛すぎか…
え、もうギューってしたい…母性本能が……!!!
千冬の可愛さかフツフツと込み上げて来るものの、すぐに場地くんが私を現実へと連れ戻す。
場地「これ食わねぇ?半分こで」
そう言って場地くんは千冬が買ってきたペヤングを私に見せてくる。
『でも千冬が買ってきたのに私が食べる訳には…』
場地「アイツ帰っちまったんだから仕方ねぇだろ。とりあえず湯沸かししてくるワ」
場地くんはペヤングを手に、お湯を沸かすと言って部屋を出ていってしまった。