第14章 生憎の雨
武道くん達が居なくなれば、マイキーはゆっくり私から離れた。
そして私の目の前に来ればグッと顔を近付けられる。
『ま、マイキーくん…?』
マイキー「浮気」
『………へ?』
"浮気"という言葉に私は拍子抜けをしたような声が出てしまい、戸惑いからか瞬きの回数が増える。
浮気…とは?
マイキーくんの言葉の意味が理解出来ずに首を傾げていれば、マイキーくんは目を細めて頬を膨らませながら怒ったような顔をした。
マイキー「名前はタケミっちが好きなわけ?」
『えっ?好きは好きだけど…いい子だし…』
マイキー「オレには大好きとか言ったことねぇくせに…」
どうやら武道くんに大好きと言ったことが気に食わないらしい。
確かにあんまり大好きとか言ったことないかも……マイキーも大好きって言われたいのかな…いや、でも私が言ったところで嬉しくはないよね…?
けど、嫉妬してるんだとしたら可愛すぎるんだけど……
『……マイキーくん、嫉妬?』
マイキー「………別に?」
目を泳がせながらそんな事を返してくるマイキーくん。
分からりやすいしめちゃくちゃ可愛いんだが……?
『武道くんも大好きだけど、マイキーくんの事も大好きだよ。一緒にいると楽しいし』
マイキー「……そっか」
マイキーくんは私の言葉に目線を少し落として頬を少し赤らめた。
そんな可愛いマイキーくんを見ていれば、マイキーくんは私の方を見てなにか言おうとしたがすぐに言葉を止めた。
マイキー「オレも名前の事……って、どうしたの、その顔…なんか赤いし腫れてるような…唇も怪我してるし」
『えっ…あ、これは……昨日ちょっと転んじゃって……!』
マイキー「転んだ?どこで?」
『街中で…?少し焦ってたから…ハハッ…』
私の苦しい言い訳にマイキーくんは不審げに見つめてくるものの、信じてくれたのか私の頬を撫でてくれる。
マイキー「気を付けろよ。名前が怪我すんの嫌だし」
『…あ、うん…ありがとうマイキーくん』
マイキー「仕事送ってく」
『え、いいの?』
マイキー「また転んだら嫌だし」
そう言ってマイキーくんは私の手を握って歩き出した。
年下にこんなに優しくされて…
私は前世で何かいい事をしたのだろうか…