第14章 生憎の雨
手を握りながら歩くマイキーくんは私の方をチラッと見れば、何故か困ったような表情を浮かべる。
『?…どうしたの?』
マイキー「…その顔どうしたのかなーって思って」
『顔…?』
顔と言われれば少し考えるも、きっと頬の赤みと腫れを言ってるのかなと理解すれば私は苦笑いを浮かべた。
『これは…ちょっと友達と揉めちゃったってゆうか…平手打ちくらったって言うか…』
マイキー「は?なにそれ…そんな大喧嘩したの?」
『まぁ…こうゆう時もあるよね…!』
本当は見知らぬ女に殴られたけど…そんなこと言ったらマイキーくんにも心配かけるし友達と喧嘩したことにしておく。
これ会った人に聞かれるよね…早く腫れ引いてくれ……
マイキー「そっか…相手が男だったらオレがやり返しにぶん殴ってやろうと思ったのに」
その言葉に私の頭には灰谷兄弟の顔が浮かんだ。
あのイケメン面がやられてる姿とかさぞかしスッキリするだろうなぁ…ムカつくからマイキーくんに殴ってもらおうかな…いや、でもマイキーくん総長してるくらいだし死人が出るかもしれないから辞めとこう。
『そんな男の人とは絡みないけど…その気持ちだけ受け取っておくね』
マイキー「なんかあったらすぐに言えよ?オレはいつでも名前の味方だから」
『ん、ありがとうマイキーくん。私もいつでもマイキーくんの味方だからね?』
マイキー「あー…まじで好き」
『ん?なんか言った?』
ボソッと何か言った気がして聞き返すも、マイキーくんはすぐに顔を逸らした。
マイキー「なんでもない。また名前のとこ泊まりに行ってもい?」
『あ、うん。もちろん。マイキーくんの着替えも置きっぱなしだし』
マイキー「ずっと置いておいて」
『大丈夫だよ、ちゃんと置いておくからね』
その言葉にマイキーくんは嬉しそうに笑みを浮かべる。
そんな他愛のない話をしていれば、あっという間に職場に到着した。
『仕事ここだから。送ってくれてありがとう!マイキーくんも気を付けて学校行ってきてね』
マイキー「名前も、仕事ガンバ」
仕事の時間が迫っていたため、私は短めにマイキーくんと言葉を交わせば手を振りつつビルへと入った。
今日も一日頑張らなくちゃ!