第13章 マスクの秘密
『あ、あの…またね?春千夜ちゃん…』
玄関を開けようとドアに手をかける春千夜ちゃんに一言伝える。
すると春千夜ちゃんは一度フリーズしたものの、いきなり私の方を向いてはズカズカと近づいてきた。
なんだろう…なんて一歩引いてしまえば、いきなり春千夜ちゃんに肩を強く押された。
『うわっ…!』
肩を押されたことによりバランスを崩せば、そのまま強めに玄関付近の壁に押し付けられ、意図も簡単に両手を頭の上で押さえ付けられた。
『いっ……ちょ、いきなり何っ…』
三途「…隙ありすぎですよ、名前さん…?」
その言葉と共に、春千夜ちゃんはマスクを下にずらしてはそのまま私の唇へとキスしてきた。
『ん…っ!?』
唇を挟むようなソフトなキスをしてくる春千夜ちゃん。
抵抗を試みるもビクともせずにされるがままの私は目をぎゅっと閉じたままその場を耐え凌ぐ。
次の瞬間、春千夜ちゃんは私の唇を噛み痛みが走る。
『ん…いっ……』
三途「………ン」
噛まれた唇はじんわり血が滲み、春千夜ちゃんは傷口に舌を這わせてねっとりと舐めてくる。
じんじんする地味な痛みに自然と涙目になってしまう。
暫くキスしたり、舐めたりを繰り返せばゆっくりと唇が離れた。
春千夜ちゃんはマスクを付け直せば一言呟いた。
三途「………貴女の顔を見てるとムカつくんですよ」
その言葉を残せば、私から手を離してそのまま春千夜ちゃんは帰っていってしまった。
その場に取り残された私は、あまりの出来事に腰を抜かしてしまいその場にへたり込んでしまった。
『…なんなの、あの子……』
じんじんしている唇を指で触りながら、先程の出来事を思い返す。
最後の言葉はなんなの…?
ムカつくって言った?
なんでムカつく相手にキスとかするの…意味不明……
しかも噛みやがったし……痛い……犬か…!!!
内心そんなツッコミを入れながら、私はしばらくその場から動けなかった。
三途「………………………………」
かわいい。なんだあの反応。
めちゃくちゃに汚してぇ…
次会ったら抱き潰すか。
監禁して抱き潰してぇまじ。
マイキーにバレたら殺されるけど。
そんな危険な事を考えながら、灯りのついた名前の玄関を見つめる三途だった。