第12章 危険人物
『あの、私この後用事が……!』
蘭「いいじゃん、少しくらい」
別に用事はないけど、とりあえず用事があるって言って逃げれば全然余裕………なんて思ってたけど、全然離してくれないじゃんこの子…えっ?
強引な相手に動揺しつつも仕方なく着いて行けば、路地を抜けた先に出れば目の前にはホテル街が目に飛び込んできた。
…………まさかとは思うけど、ホテルに向かってるわけじゃないよね?
そんな嫌な予感を察知しつつも当たりを見渡せば、どこもかしこもホテルだらけで私の嫌な予感は的中した。
蘭「ここ入ろ」
『………は?』
私はつい心の声が漏れてしまう。
ホテルはホテルでもラブホという部類のホテルだった。
なんで好きでもない人とホテルに入らなくちゃいけないのかな?
そもそも知り合いでもないし、さっき会ったばっかりだし……意味わからないんですけど?
蘭「さっきのお礼するから」
そう言いながら蘭ちゃんは私の腰を抱きながらホテルの入口から入ろうとするため私は慌てて抵抗をする。
『ちょ、ちょっと…!無理…!お礼とか要らないから本当帰らせて!!!』
蘭「は?蘭ちゃんがお礼してやるって言ってんだから有難く受け取れよ」
『いや、結構です…!!!』
竜胆「兄ちゃん…この女すげぇ嫌がってるけど」
蘭「嫌がるのがおかしいだろ」
『私じゃなくてアンタがおかしいよ?ちょっとイケメンだからって誰でもホイホイとホテルに行くと思わないでよね…!』
その言葉に蘭ちゃんは怒りの籠ったような笑顔を私に向ければ、一言呟いた。
蘭「竜胆、この女押さえつけろ」
竜胆「はいはい…」
蘭ちゃんの言葉に、竜胆ちゃんは私の両腕を後ろに持っていけば押さえつけた。
『えっ?はい?竜胆ちゃん?兄ちゃんの言いなりばっかりは良くないと思うんだけど…!?』
私は後ろを向き竜胆に訴えかけるものの、すぐに蘭ちゃんは私の顎に手をかけて自分の方を向かせてきた。
蘭「その減らず口、すぐにでも黙らせてやるよ」
妖しい笑顔を浮かべながら私に顔を近付けてくる。
なんで最近周りにいるの変なやつばっかりなの…
私はなにか人生において悪いことをしたのだろうか…そう思いながら助けを求めようとすれば少し離れた場所から見知らぬ声が聞こえた。