第26章 勧誘は彼女の笑顔と共に
しばらくの沈黙の後_____行けない、そう言ったユキの瞳は、いつもの澄んだ青色ではなく、少し濁っていた。
「理由は」
もとより断られても連れて行く気だったエースは、断られたのにも関わらずずいと一歩前に出た。少し剣呑な雰囲気を醸し出すエースに、びくりとその頼りない肩を震わせるユキは、それでもとエースの瞳を真正面から睨みつけた。
「・・・私が、守られて生きて行きたいと、思わないからです」
「!」
その答えに、目を見開くエースは次の瞬間ブハッと吹き出した。
んなっと真剣な答えを笑われたことに少しムスっとするユキは、エースがすぐに悪い悪いとその両手を前に出してくるものだから、怒れない。
「・・・いや、そうだな、俺はこの1週間で、お前が強いことを知った。守られるお姫様ってたまじゃ、ねぇよな?」
そう言ってニヤリと笑うエースは、ポンっとユキの頭に手を乗っけた。