第10章 海に呑まれる
「とりあえず、お前の部屋ででも休ませてやれよぃ」
医務室とはいえいきなり海賊船では安心して眠ることもできないだろう、というマルコの計らいで、『ユウ』はエースの部屋で眠ることになった。
『ユウ』は流石に色々あって疲れたからか、ベットへ入るとすぐに眠りに落ちた。エースは、そんな『ユウ』を横目に、ベットの下に腰掛ける。
こうしてきちんと見てみれば、なんで男だと勘違いしたのかと思うほどに、可愛らしい顔立ちをしている。それに細くしなやかな手足、首元に鎖骨、そして腰。・・・女にしか見えない。
もし本当に男だったとしても、女と間違えられる運命だったことがたやすく予想できる。
まぁ、マルコに言われるまで気づかなかったが。ガバっと乱暴に毛布をかけてやる。
テンロガンハットから瞳を覗かせ、女のそばで寝るのはな、と思いつつも、昨夜ずっと走り回ったせいかうつらうつらと迫り来る眠気に、そのままベットに背を預けたままエースは意識を手放した。