第43章 一目惚れ
「・・終わったぞー」
「へ・・・?」
「じゃ、次反対な」
くるっと軽々体を半回転させられ、また同様にばちりと耳元で鳴る。できたっと満足そうに言うエースの声の近さに、ユキはくらくらとする。そんなユキを知ってか知らずか、耳元についたそれを手で転がすエースは、赤、似合うんだな・・とポツリと呟いた。
「?」
「や、痛くないか?」
「う・・・うん!」
意識しすぎて全く痛みを感じなかったとは言えないユキが、必死にその頭を上下に振る。
「そうか、よかった!似合ってるぞ!」
「・・・・ありが、とう」
その満面の笑みに、ユキは照れたように下を向く。じわじわと熱を持つ自身の耳に手を持っていき、そこについたピアスを触る。石に温度などあるはずもないのに、自分の熱が移ったかのように熱くなっているピアスに、ユキは真っ赤になった頬の熱を冷ますのに必死だった。