第33章 コック
「・・・・なんでいっつも笑ってんの?」
いつの日か、聞いてしまったことがあった。それにユキは、少し困ったような笑顔で答えた。その笑顔を見て、サッチは少し後悔した。彼女の琴線に触れたのではないかと思うほど、その顔は泣き出しそうだったからだ。
「変ですか?」
「や、可愛いよ!・・・けど、俺はエースから聞いてるからさ、なんでそんなに頑張るのかなって気になっただけ」
「・・・・・弔い、かもしれませんね」
そう言って笑うユキの笑顔は、儚くすぐに消えてしまうんじゃないかと思ってしまった。
それからは、サッチはユキに関して深く質問をしなくなった。あの質問がユキにとって嬉しいものでないことは、すぐに分かった。あまり深くに踏み入れて欲しくない、そういった拒絶の笑みだと気づいたからだ。