第30章 歓迎会
ポカン、としたユキはその楽しそうな宴の様子を白ひげ・・・・オヤジさんの上から眺め、クスリと笑う。そんなユキを見下ろす白ひげは、ポツリと零した。
「・・・・・昔、お前ぇによく似た、綺麗な海の色を瞳に持つ娘に会った」
上から聞こえてきた声に、ユキはハッと驚く。
「・・・・ありゃ、お前だったんだなァ、ユキ」
「!・・・・エースが、言ったの?」
「・・・あいつを責めてやるな。お前らが一体あの島で何をしてきて、お前が何者なのか、大まかに俺に話しに来たんだ・・・・・お前を、理解してやってくれとな」
島で何があったかも、私の能力も、全て話してあるということに、びくりと反応したユキを見て、その小さな頭を撫でてやる。
「心配するなァ。俺ァ、海軍にお前を売ろうなんざ考えねぇし、お前はもう俺の家族だ。この船にいりゃあ、向こうも手は出しづれぇだろう」
それに、と付け加えるオヤジさんを、ユキは見上げた。
「・・・あの時の不思議な娘っ子に会えたのが、嬉しいんだ」
そう言うオヤジさんの目には、目の前のユキではなく、いつか会ったまだ幼いユキを見ているようだった。
「・・・・・まぁ、その能力のことはあまり話すもんでもねぇ。エースの奴も分かってる。俺と、エース、そしてマルコとサッチには話してある。何かあれば、そいつらを頼れ。エースはお前につけといてやる」
そこまで言い、オヤジさんは言葉を切った。そして、先ほどとは違い今のユキを眺め、少し悲しそうにその瞼を閉じる。
「・・・辛ェ思いをしたなァ」
「っ・・・・」
「肩肘張って生きて来たんだァ、ちょっとここいらで、休んでけェ・・・・体も心もな」
「・・・オヤジ、さん」
それだけ言うとユキを地面に降ろし、去って行った。
それを何か言いたげな目で見つめるユキの前に、ある人物がその瞳を覗き込んだ。