• テキストサイズ

Time to Time ーAS・Lー

第30章  歓迎会


ポカン、としたユキはその楽しそうな宴の様子を白ひげ・・・・オヤジさんの上から眺め、クスリと笑う。そんなユキを見下ろす白ひげは、ポツリと零した。

「・・・・・昔、お前ぇによく似た、綺麗な海の色を瞳に持つ娘に会った」

上から聞こえてきた声に、ユキはハッと驚く。

「・・・・ありゃ、お前だったんだなァ、ユキ」

「!・・・・エースが、言ったの?」

「・・・あいつを責めてやるな。お前らが一体あの島で何をしてきて、お前が何者なのか、大まかに俺に話しに来たんだ・・・・・お前を、理解してやってくれとな」

島で何があったかも、私の能力も、全て話してあるということに、びくりと反応したユキを見て、その小さな頭を撫でてやる。

「心配するなァ。俺ァ、海軍にお前を売ろうなんざ考えねぇし、お前はもう俺の家族だ。この船にいりゃあ、向こうも手は出しづれぇだろう」

それに、と付け加えるオヤジさんを、ユキは見上げた。

「・・・あの時の不思議な娘っ子に会えたのが、嬉しいんだ」

そう言うオヤジさんの目には、目の前のユキではなく、いつか会ったまだ幼いユキを見ているようだった。

「・・・・・まぁ、その能力のことはあまり話すもんでもねぇ。エースの奴も分かってる。俺と、エース、そしてマルコとサッチには話してある。何かあれば、そいつらを頼れ。エースはお前につけといてやる」

そこまで言い、オヤジさんは言葉を切った。そして、先ほどとは違い今のユキを眺め、少し悲しそうにその瞼を閉じる。

「・・・辛ェ思いをしたなァ」

「っ・・・・」

「肩肘張って生きて来たんだァ、ちょっとここいらで、休んでけェ・・・・体も心もな」

「・・・オヤジ、さん」

それだけ言うとユキを地面に降ろし、去って行った。
それを何か言いたげな目で見つめるユキの前に、ある人物がその瞳を覗き込んだ。
/ 217ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp