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【黒執事】貴方と迎える私の最期

第2章 ー夢でみる私?


 そう。私の育ったカレンディア家は剣術・政治ともに優れた臣下を多く輩出してきた伯爵家ながら有数の名家である。生まれてきたカレンディア家の子供達は性別関係なく文武両道であることを求められ、幼き頃より修練に励む。
 
 特に、私の腹違いの兄であるマクシミリアンは、剣術・政治面において大変優秀であるとされ、次期当主として将来は輝かしいものとなるはずだった…。

 そんな兄の代わりとして当主となる私には、喘息持ちでありながら睡眠・食事の暇も与えられず、葬儀の翌日から今日まで鍛練の日々が強いられた。兄が亡くなったことで親戚からも疎遠になったカレンディア家を復興させようと、日々、研鑽し続けてきた。


「…どうぞ、ご心配なく。これでもカレンディア家のものですので。」

 これを聞くとファントムハイヴ伯爵は、

「そうです。彼女は、あのカレンディア家の次期当主。…“女王の剣”として“影”として我らファントムハイヴ家と共に陛下のためにあるのだからな。」



ー2ヶ月後

 
 私はついにカレンディア家当主として、領地返還を行うこととなり、部屋で当日の準備をしていた。

「カレンディア様。礼服の準備が整いましたので、次は御髪を整えさせていただきますね。」

 召使いが髪に触れ、結い上げたとき…

「カレンディア様は、御髪が一房濃い紫なのですね。」

「え…?」

 すると、ハッとした様子でまわりの召使いが震えだした。一人の召使いがその召使いの頭を抑え深々と頭を下げさせた。


「…カレンディア様…。お、お許しを…。」



「みんな…?いったいどうしたの…?」

 


 その時、私の乳母が扉を勢いよく開き叫びながら入ってきた。


「みんな!支度を止めて頂戴!」
 

 部屋にいる召使い達の様子を見て、何かを察したその乳母は、その場にいるもの達を下がらせ、二人きりにした。

「なに…?髪が、どうかしたの?…なにかいけなかった?」

 すると乳母は諦めたように口を開いた。

「カレンディア様…。遅くはなりましたが、お知りになるときが来ましたようです。」
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