第9章 私はモブになりたい
「え?集会を見学してみたい?」
あれから1ヶ月程たった頃 タイミング良く夏休みに入ったので三ツ谷家へ頻繁に出入りするようになったはだいぶ打ち解けたのか 三ツ谷にそう打診した
ここ1ヶ月で分かったのは この世界線の中の人物は私がテレビの画面の前でキャーキャー言っていた人達とは全くの別の人生を辿っていると言うこと
そもそも抗争なんてそうそう頻繁に起こらないし絡まれたりもしない いたって平和
彼らだってちゃんと物語の中でじゃなくてちゃんと1人の人間として生活してるということ
そう考えたら今までは世界観を壊したらいけないなどという謎の使命感があったが ちょっとくらい彼等に関わってもいいんじゃないかと欲が出てきた
その結果、そこそこ打ち解けて来た三ツ谷にそう打診した
「うん、隆くんの話を聞いてて ちゃんと見てみたいなぁって…駄目?」
精一杯の子供らしい仕草で三ツ谷に頼み込むと三ツ谷は夏最後のかき氷を作るべくシャカシャカと家庭用かき氷機を回していた
「う~ん、別に構わないけど 退屈かもよ?それとちゃんと親に夜の外出許可貰ってくるなら」
器に盛られた氷の山に赤いイチゴ味のシロップを掛けてに渡すとそう告げた
「あっ!ちゃんのイチゴも美味しそう!」
「ちょっと食べる?」
「わぁい!」
「あっマナだけズルい!ルナもルナも!!」
そう言いながらルナマナは両サイドからスプーンでのかき氷を掬った
「こらっ、行儀悪いだろ ちゃんと自分の食べろ」
「だってメロン飽きたんだもん」
そう言いながらパクつく姿を横目で見ながら間近で集会を見れる喜びを押さえながら赤いイチゴ味のかき氷を口に入れた
じんわりと口の中を冷たく甘い味が広がった