第9章 私はモブになりたい
「あっ!じゃあマナはテーブル拭く!」
そう言って手元にあった布巾でゴシゴシと拭きだした
「よしっ キレイになったな それじゃあ座って」
ちょこんと座ったマナ達の前に三ツ谷はプリンと飲み物を置いていく
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
ペコリと軽くお辞儀をして目の前に置かれたプリンに視線を落とす
置かれたプリンは手作りです!って感じの王道プリンだった
「…美味しそう…」
思わず小さく呟いてしまったを三ツ谷はチラリと見ると小さく笑った
「あぁ、きっとうまいと思うよ」
「い…頂きますっ」
自分の無意識の呟きに恥ずかしかったのか誤魔化すようにスプーンを手にしてプリンを一口掬った
口に入れたプリンは手作りならでわの優しい味と滑らかさが口一杯に拡がった
「…旨いか?」
「…!!っ(コクコク)」
三ツ谷の問いに勢い良く頷いて目をキラキラとさせる姿は幼い子供そのものだった
誰かの手作りお菓子なんて久々に口にした
もしかしたら母が作ってくれたかもしれないが以前の記憶にある母から作って貰った記憶は皆無だった というか台所に立っている姿を1度たりとも見かけたことはなかったというのが本当なのだが
パクパクとスプーンで食べ進めていただが、ふと あることに気がついた
「…カラメルがない」
プリンは実に美味しい だけど下の層にあるハズのカラメルソースがこのプリンにはなかった
「あぁ、マナ達にはまだほろ苦いカラメルはまだ早ぇかなと思って抜いてたんだけど もしかしてカラメルも好き?」
「え?まぁ…こう、味がガラリと変わって美味しいじゃないですか…」
の言葉を聞くと 三ツ谷はう~んと考え込んでニカッと笑った
「んじゃあ次はカラメル入りも作っておくわ」
そう言い放つ三ツ谷には目を丸くした
「えっ!?いえいえ!そんなわざわざっ!」