第9章 私はモブになりたい
知らない道を全力疾走で走り抜ける
だけど何故だか足は自宅がある道を走る
どうして?
どうして?
頭の中はごちゃごちゃとかきまわされてる感じがするのにマンションへと身体は動いて自宅であろう玄関を慌てて開けると自分の部屋へと飛び込んだ
小学生の女の子にしては大人びた部屋に運良く置かれていた姿見に自分を映してペタペタと顔を確認する様に触りだした
どういうこと?
どういうこと?
きっと夢
そう思いたかったのにマンガよろしく自分の頬をつねると僅かに残るジンジンとした鈍い痛みが現実だと突きつけられる
ヘナヘナと座り込むと今だにごちゃごちゃしてる頭の中を身体に空気を入れ込むように大きく息を吸って吐くとこの不思議な出来事を整理しようと目を閉じた
確か昨日まではどこにでもいる20代の塾講師だったはず