第8章 どんな君も=佐野万次郎
「〜だからっ、私達はもう帰るところなんですって!」
「え〜いいじゃん、まだ時間も早いし付き合ってよ」
いくら断ってもグイグイと押しの強い3人組の男達に瑠衣やもう1人の友人、美南はこの状況に困り果てていた
華蓮がタクシーを呼びに離れてすぐにベンチで座っていたの隣に腰を落ち着けて待っていると瑠衣達の頭上から声が振ってきた
「ねぇ、誰か待ってんの?」
声を掛けられ、何気なく視線に顔を上げたら同年代くらいの男の子達が立っていた
「やばっ、可愛くない?」
「俺もそう思った」
「じゃあどこ行こっか?」
口々に言われて瑠衣と美南は頭にハテナを飛ばしていた
「あ…あの」
「やっぱこの時間だったらカラオケだよな〜」
「何の話をされているんですか?」
「ヤダな〜これから俺たちと遊んでくれるんでしょ?」
さも当然のように言う男達に瑠衣達は困惑した顔をした
「私達、これから帰るので それに知らない人達とはちょっと…」
「またまたぁ〜帰る時間には早いでしょ?それに知らないならこれから知れば良くね?」
全く話の通じない相手に戸惑っていると事情を知らない華蓮が戻ってきた
「あれ?…瑠衣ちゃん達のお友達?」
「わっ、君も可愛いねっ」
いきなり声を掛けられて華蓮はビクっと肩を揺らしながら瑠衣達を見やると「知らない知らない!」というように手でジェスチャーをしていた
「ほらっちょうど3:3でピッタリ!」
パンっと手を叩いて強引に話を進めてくる男達に瑠衣達はドン引きした目を向けていた
「あっれ〜?めっちゃクールな視線〜」
楽しそうにケラケラと笑う相手を無視して華蓮はに近付いた
「…私達 彼女をタクシーで送らないといけないので」
そう冷たく言う華蓮を見てベンチに座ってウツラウツラしているを見遣った
「大丈夫大丈夫、行き先言って放り込めば家の前で降ろしてくれるから」
「は?酔っ払ってる女の子を一人で乗せて放っておけって?」
彼らの言葉に瑠衣が怒りを露わにした顔を向けた