第2章 居場所=三ツ谷隆
「…取り敢えず マイキー お前は帰れ」
今度は三ツ谷が通話ボタンを押しながら言うとマイキーは悔しそうな顔をした
「その声は三ツ谷だなっ!一人だけ何抜け駆けしてんだよ、ズルいだろっ」
「ズルいも何も俺はの彼氏なんだから当たり前だろ!」
「何急に彼氏ヅラしてんだよ」
「彼氏ヅラじゃねぇ 彼氏だっ!!」
モニター越しでギャーギャー言い合っているマイキーの口を後ろからヌッと現れた手に塞がれる
「ウグッ…!」
「マイキー、いい加減にしろ こんな所で騒ぐな」
口を塞いだのは呆れた顔をしたドラケンだった
「悪いな三ツ谷、折角の二人きりなのに邪魔しちまって マイキーがどうしてもって聞かなくてよ」
申し訳無さそうに言うドラケンの横でエマが必死で擁護する
「ドラケンは悪くないんだよ!マイキーがしつこいからウチが教えちゃったのが悪いんだし…」
話を聞く限りドラケンやエマは悪くない 寧ろ巻き込まれた側だろう
これはマイキーが全面的に悪い
三ツ谷は はぁっとため息を付くとの方へと目を向けた
「ふふっ、丁度お昼を作ろうかと思ってたの みんなで食べよう」
言いながら「今 鍵を開けるから待っててね」と言うとモニターを切って玄関へと鍵を開けようとその場を離れようとする
その手を取って三ツ谷はを見つめるとは急に手を掴んできた三ツ谷に首を傾げた
の手を掴んだ三ツ谷はそのままぐいっと自分の方へと手を引くとの額に素早くチュっと唇を寄せた
「ひゃっ…!」
突然の事には顔を真っ赤にして額を押さえた
「ほら、早く開けてやれよ」
シレッとした三ツ谷の態度にはヤラれた という顔をしながらパタパタと玄関をかけていく
その後ろ姿を見ながら三ツ谷は思う
もうあんな悲しい思いはさせない
これからはずっと笑っていて欲しい
願うならずっと側で見つめていたい
ドアを開けた瞬間にマイキー達の弾んだ声が耳に入る
「〜三ツ谷〜ドラ焼き買ってきた あっ、たい焼きもあるんだ!」
「どっちもアンコじゃねーか!」
「あはは!」
ドラケンのツッコミにの楽しそうな笑い声
ずっと聞いていたいと思った