第9章 蜜月
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「…………」
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“抱いて”
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愛しい人がそれを望んでいるのに
それを拒む理由が何処にあるだろう
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“男同士だから”
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そんな事、承知の上だ
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“他に恋人がいるから”
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それも、初めから覚悟してる
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君が望む事を、どんな事だって俺が拒む理由なんて
何も無いんだ
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「……イイの……?」
俺は君の、涙に濡れた頬を両手に包んで優しく囁いた
「…うん…お願い…僕を……僕を、翔くんのモノにして…/////」
愛してもいいの?
本当に…いいんだね…?
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俺は君が壊れてしまわないように
そっと、この胸に、抱きしめた…
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身体を繋げる事が、目的だった訳ではなかった
だけど
それが、恋人たちがお互いの愛を確かめ合う、大切な儀式である事は確かだった
熱く絡み合う身体は
時に、言葉より雄弁に、お互いを求め合う気持ちを語る
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俺の腕のなかで、切ない吐息を漏らしている君は
ただただ綺麗で…
汗に艶めく身体も
紅く染まった頬も
悩ましげな声も
……全部……
「…智くん…綺麗だね…凄く…きれいだよ///」
「…あ…んん…しょぅ、くん///」
「大好きだよ、智くん…愛してる…愛してるって言葉じゃ、足りないくらい」
「…僕、も…ぁっ……あぃし、てる///」
夢見るように虚ろな瞳を俺に向ける君
その細められた目尻に溜った涙を拭いてあげると、智くんが俺の手を握った
「…あぁ…こんな、に……優しく…抱かれ、るの……は、じめて////」
智くんは、握った俺の手に接吻けた
「…翔くん…もっと……僕を…あなたで…いっぱいにしたいの…」
「…さとし…」
「…きて…翔くん……ッあ////」
俺は、智くんの狭い入り口に自分をあてがい
ゆっくりと、腰を沈めた
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