第1章 出逢い
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(男なのか…)
そう思いながらも、妖艶かつ可愛らしい君から眼が離せない
「んう〜、いいぢゃん、もぉいっぱいぃ」
「だぁめ!の・み・す・ぎ!」
「んあ〜、あーばちゃんのけちぃ〜…」
(…何だ?何なんだ、この人…可愛い過ぎんだろ…!!)
甘えた様な声で“あーばちゃん”におねだりする姿は、可愛いを通り過ぎて
超絶可愛かった
「だめだめ、これ以上呑んだら、つぶれて眠っちゃうでしょ?」
「んふっ、あーばちゃん送りおおかみさん♪」
「もうっ、おーのくんのが送られおおかみでしょ?
この前だって、抱きついてキスマークなんてつけるから、あの後ニノにどんだけ怒られたと思ってんの?」
(だだっ…抱きついてキスマークぅ??!)
「くふふ、ニノ怒ってたねぇ、僕もニノに、『紛らわしいコトすんな!やるんなら俺にやんなさい!』ってめっちゃ怒られちゃった♡」
(…俺にやんなさい?俺って事は“ニノ”とやらも男なのか?)
てか、そもそも俺にやれっちゃどう言うコトだ??
「だーかーら、もう呑んじゃだめ!」
「んう〜、あーばちゃんのけちぃ〜…」
三人の関係に思いを巡らせて頭を悩ます俺の横で
君は、小さく欠伸をすると
俺の方に顔を向けカウンターに俯せて
眠ってしまった
片手に乗せた頬が、ぷにっとふくれていて何とも可愛らしい
「…まあ、今日はしかたないか」
“あーばちゃん”は溜め息をつきながら呟いた
(今日は仕方ない?何かあったのかな?
ってか、このバーテンダー、男と付き合ってんのかな?)
いや、いいんだけど…
(そもそも、オオノくんとはどう言う関係なんだろう?)
いやいや、いいんだけど…
「………」
俺は、ぼんやりとそんな事を考えながら
君の素晴らしく可愛い寝顔を、ちらちらと、横目で眺め続けていた…
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