第7章 罪
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—どれ位二人して黙ってただろう
僕は、櫻井くんと繋いだ手を離せないでいた
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櫻井くんは本当にイイ人だと思う
ニノが言ってたからとかじゃなく
話し方とか、笑い方とか…
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…繋いだ手の、暖かさとか…
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だから、こんなイイ人を利用しちゃダメなんだ
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(……解ってる……そんなコト解ってる……)
「…………」
(……手を、離さなきゃ……)
それでも
僕は櫻井くんの暖かさを手放せないでいた
(僕は馬鹿だ…
…こんなことしたって辛くなるだけなのに…
…まだ、間に合う…
…この手を…貴方を…今、振りきれば…
…あの虚しい鳥籠が、僕の居場所なんだから…)
「…騙されてたっていいんだ」
沈黙を破って
櫻井くんが静かに口を開いて話し始めた
「…え?何言って…」
戸惑う僕に
櫻井くんが、低く優しい声で呟くように語る
「…君が卑怯だって言うなら、俺だって同じだよ…
…俺は、君に恋人がいる事知ってて誘ったんだから」
「…でも…///」
貴方は僕の手を、その暖かい手で優しく包んでくれた
(…やめてよ…お願いだから優しくしないで…
…戻れなく、なっちゃうよ…///)
体の熱が上がっていく
離さなければと思うのに
どうしても、貴方の手を離すコトが出来ない
「…傷ついても、裏切られても、構わない…
………君が、好きなんだ」
最後に、じっと僕の目を見詰めながら貴方がそう言って
繋いだ手を、グッと引いた
「あっ……/////」
僕は、呆気なく貴方の胸に引き寄せられて
その優しい腕に包まれて……抱きしめられていた
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