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—L'Oiseau Bleu— 青い鳥

第3章 籠の鳥


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「……………」


何故かスキップして遠ざかる背中を見送って、僕は一人部屋へ戻った

玄関のドアを後ろ手に閉めて、それに背中をもたれかける


…何の生活感もない、虚無な空間

彼が、僕を“飼う”為に与えた…虚しい“鳥籠”


『テレビとか、時計とか、何も置いてないんですね』


櫻井くんの言葉が頭の隅にぼんやりと浮かんだ


ただ、身を置く為にある、殺風景な僕の部屋


『欲しい物があったら何でも云えよ、智が欲しい物は何でも買ってやる』


初めてこの部屋に連れて来られた日、潤くんが言った


(…いらない…何にもいらない…


本当に欲しいモノは

どうしたって、手に入らないんだから

…なら

何もいらない…欲しくないよ…)


何にもない部屋の、無機質な白い壁に背中を付けてしゃがみ込む


(僕には、彼を…潤くんを悦ばせるこの躰があれば

…それでいいんだ)


ねぇ……そうでしょ?


「………潤、くん………」


呼んでも来てはくれない人の名を呟いたら

テーブルの上の携帯が着信を知らせて震えだした

手に取ると“二宮和也”の文字


「……」


僕は、何となく重たい気持ちで電話に出た


「…もしもし」

『あ、モシモシ?大野くん?雅紀からきいたよ!無事?何もされてない?…てか、シてないよね?!』

「ふふ、大丈夫、何もされてないし、シてないよ」

『ホント?櫻井さんは?今何してんの?』

「うん?櫻井くんなら、さっき帰ったよ?」


スキップしながら(笑)


『…なんだ、つまんない』

「つまんないって、何だよ(苦笑)」


ニノとは古い付き合いだった

会ってなかった時期もあったけど、今も昔も仲良しの友達で

ちょっと口は悪いけど、何時も僕が落ち込んでいると皮肉っぽく励ましてくれる


『だってほら、ナンカあった方が面白くない?』

「面白いって…でも何にも無かったけど、櫻井くんって面白い人だね…ニノも知り合いなの?」


僕はさっき迄一緒だった楽しい人の事を思い出した


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