• テキストサイズ

心をさらったあなたへ【鬼滅の刃/不死川実弥】

第2章 心をさらったあなたへ








「しのぶさんが任務のため、今日の検査を担当します雪村千聡です。」

「あ、不死川、玄弥です」

「じゃあ玄弥くん、脈を測ります」

「…は、はい」

「………玄弥くんどこか体調悪い?少し頻脈ぎみですね。しのぶさんに報告かしら…」

「や、えっと、その…名前…」

「名前?」

「名前で呼ばれて…ちょっとびっくりして…」


俯いた玄弥くんは、耳まで真っ赤にしている


「…まぁ。不死川さんと混ざってしまうからお名前で呼んでみたのですが…じゃあ、不死川くんでいいかしら」

「あ、その方が…落ち着きマス…
えっと…兄貴の…?」

「治療を担当しています。
…じゃあ最後に採血です。ちょっとちくっとします」


針が刺さる瞬間、玄弥くんはきゅっと目を瞑った


「…兄弟で」

「え?」

「いえ、お気になさらず…はい、終わりました」

「あの、兄貴…どうしてますか」

「ひどい怪我でしたが、順調に快方に向かっています」

「そうですか…ありがとうございます。」

「いえ、私はほんの少し生きるお手伝いをしているだけです。帰りに会っていかれては?」

「いや…俺、兄貴に嫌われてるみたいで…会ったら今度こそ殺されそう…」



そっくりな三白眼に安堵を浮かべて
複雑な顔で笑っていた

鬼喰いをしてまで鬼殺隊に入ったことも
兄の状態を案じながらこんな顔で笑うことも

きっと何か事情があるのだろう



「あの、」

「はい」

「これ、兄貴に渡してもらえませんか」

「これは…おはぎ?」

「病室の前に置いて帰ろうかと思ったんですけど…あ、俺からってことは言わないでください」

「不死川さん、おはぎが好きなの?」

「はい。兄貴は知られたくないみたいですけど」

「せっかく持ってきてくれたのだけど、まだこれが食べられるほどには回復していないんです。だから、今回は不死川くんが食べて」

「…わかりました。…雪村さん、兄貴のことよろしくお願いします」

「はい。ちゃんと食べられるようになった時は、あなたから渡してあげて。」



また切なげに笑った玄弥くんは深々と頭を下げ、診察室を出て行った



/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp