第13章 君 × 俺
「本当はね、大学生の男の人なんて、
これっぽっちも好きじゃなかった
カッコイイなんて思わなかったのに、
なんで浮気相手に出来たんだろうって
今になって少しだけ思うんだ」
「そんなもんだよ、浮気相手なんて」
「お友達にも伝えて。ごめんなさいって」
天琉は笑顔で、だけど泣きながら
公園を出て行った。
彼女は何を思ったのだろう
彼女は何を感じたのだろう
あの時のことに対して何も言ってやれない
後悔と怒りしか残らないあの時に、
天琉は一体、なんで未練を残すのだろう
「…あ、」
なんで、今になって涙なんて…。
本当はね、
俺は嫉妬してたんだよ。
でも知られると恥ずかしくって
平気な素振りを見せていただけだなんて。
君に伝えていたら、また泣くのかな。
大好き同士だったあの頃を振り返ると、
やっぱり忘れられないなんて。
いい思い出になんかしちゃってる。
辛く苦しい思いばかりのあの頃を…
ありがとう、
君に。
さようなら、
俺に。
君と僕、
掛け合わせても交わらなかった
たった数ヶ月だけの淡い思い出