第13章 君 × 俺
天琉を呼び出す事にした俺は、
アドレス帳から天琉の番号を探した
消せずに残っていた。
メールアドレスも、電話番号も、すべて
掛けてみるとすぐに出た。
『智っ?どーした?より戻す気になった?』
「違うよ、もう戻る気はない
これはそんな事で話したんじゃない
ちゃんと話したい。」
『……』
少しの沈黙のあと、
天琉はわざとらしく明るい声を出した。
『分かった。〇〇公園で待ってるね』
電話を切り、1つため息。
1つ終わって安心してる。
でも、また不安がこみ上げてくる。
「大丈夫だよ、大野くん」
愛里ちゃんが言った。
優しく微笑んで、
また「大丈夫。皆がいるよ」と言った。
なんでか安心できる自分が居た。
「ありがとう、行ってくる」
「気を付けて下さいね」
「いってら〜!」
ケリをつける。
もう終わりにするんだ。
パタン
ドアが虚しく閉まる音を響かせる
大丈夫、きっとやれる
そうして俺は震えて怖いのに気づく。