第11章 愛されたい × ただそれだけ
ーー天琉side
私は愛をいつも確かめた。
好きだからこそ、してしまう行為であって
でも、欲しい物はいつも手に入らなかった
1つも、一度も…。
浮気なんて、そう大したことないと
思っていたのは智と付き合う前の話
「やめなよ、浮気なんて。」
赤く腫れた頬を見ながら、
智は私に言った。
それが、最初の会話
「違うわ。話してただけよ」
「キスは会話に入らないでしょ」
なんでだろうって、思った。
男なんてキスやハグさえすれば、
簡単に落ちちゃうものなんだって思ってた。
自分達だって浮気するくせに。
私にばかり責め立てるのは、
きっと理不尽よ。
そう思わない?
「別に、本気の恋じゃないし」
「ふーん」
彼は興味なさげに返事をして
机に突っ伏した。
変な感じがした。
ドキドキじゃないし、ワクワクでもない
だけど瞬間に好きだって思った。
「……なに見てんの。」
「ふふ、なんでも」
優しいその笑顔に、
癒されていたんだあの時は。
小さな小さな悪魔が、
私を誘惑してしまったあの瞬間まで…