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片思い連鎖

第8章 泣く君 × 笑う貴女






『もう離さないって言ったじゃない』



女の嘘は計算高そうで、




『離れない、って言ったじゃない…』



容易く崩れてしまう脆いもの。









横でスヤスヤ眠る彼とは違う男。


愛しいなんて言葉は、
汚い私には合わないかもしれないわ





悔しかった。





いつもなら、手に入れられる段階なのに

何を戸惑う必要がある?
こんなにも愛している"フリ"をしてるのに


電話もメールもデートも。





すべて合わせているのに。








乱れた髪がハラハラと前に落ちてくる
俯いた顔を上手く隠してくれる



悔しい、


あの子さえ、いなかったならと





きっとずっと前にも思った事があった。












泣く君と笑う貴女。




『…んん……、沙月?…』



寝ていた彼が目を覚ますやいなや、
私を引き寄せてキスをする


『やめて。』


『いつもなら誘いに乗ってくれるだろ?』


『…いつもの私じゃないわ』






そう、




騙してる彼に、
私が本気になるなんてない




『イラついてんのかー』


『…悔しい』





電話を掛けたら、
なぜか悲しそうな声をしてた

バレてるなんて焦りはなかった。



そんなの、どうだって良かった。




騙してる気持ちなんかいつの間にかなくて
気づけば本気で付き合ってた



…のに。




『…んっ……』


『もっかーい。ね?』


『…うざい……』



ドサッ。







嫉妬してしまってる自分が居て
たまらなく悔しかった。






 
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