第17章 宮寺先生 × あなた
静かだと先生を見たら、
俯いて泣いてる先生がいた。
「…ごめんね。
答えたいのに、答えたいんだよっ、」
「先生…。」
「…先生、もう日本には
居られないんだよ」
居られない…?
「新しい仕事柄、
海外中心になっちゃうんだよ」
言葉が上手く出てこない。
何か言えたらいいのに、
詰まって何も出ない
「……だから、
言いたかっただけなんだ
ごめんね、聞いてくれて。」
と並べた本を入れ終わると
袋を持って書庫を出て行った。
ダメだよ。
割り切れないよ、
なんで、なんで?
忘れさせてよ。
どうして言っちゃうの。
ひどい。
一人きりの書庫で、
ただ、黙って、
不規則に並んだ本達を
眺めることしか出来ずにいた。