【MARVEL】This is my selfishness
第4章 4th
夜の静けさが心地良い。
バッキーとの間に会話がなくても不思議と居心地の悪さは感じない。
…少しドキドキはするけれど。
ずっと空を見ていると視界の端から暗くなって頭や目が空に集中していっているのが分かる。
それでも目がギンギンになるような集中ではなくて、ただただぼんやりと空だけを見ている感覚。
バッキーも同じように感じているだろうかと隣を盗み見てみると、バッキーと目が合ってしまった。
『な、何?』
「いや?君こそどうした?」
いや?と言いながらもバッキーは視線を逸らすことなくわたしを見続けている。
…偶然見るタイミングが合っただけかな?それでも見続けられると恥ずかしいんだけど…。
『…バッキーは星、好き?』
「…好きでも嫌いでもないが、君とこうして眺めてるのは悪くない」
フ、と優しく笑うバッキーに胸が静かに、確実に、騒がしくなる。
どう返したら良いか分からなくて『そっか』と小さく呟いてから星空に視線を戻した。
少しずつ自分とバッキーの体温でブランケット内が暖かくなってきた。
その暖かさがわたしを眠りへと誘う。
空を眺めていてもちょっとずつ瞬きがゆっくりになっていく。
気づくとミアが眠っていた。
小さく寝息が聞こえる。
…本当に無防備だな。
まさかこの距離で彼女の寝顔を見れるとは。
ミアの横顔を見ていると身動ぎをして体ごとこちらを向いた。
……完全に寝に入ってないか?これ…。
さすがに風邪を引くのでは、と思うがもう少しこのままで居たい。
至近距離でミアの寝顔を見ているとたまらなく愛おしくなってくる。
この無防備さが庇護欲を刺激しているのかもしれない。
……危ない。
あと少しで鼻先が当たるところだった。
ミアの薄く開いた唇に吸い込まれるように距離が縮まっていた。
右にしている腕時計を見ると、2時になろうとしていた。
もう少し眺めていたい気持ちを抑え、声をかける。
「ミア」
『……』
「ミア」
指先で冷えた頬を撫でると起きる所か、まるで気持ちよさそうに口角が上がった。