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【MARVEL】This is my selfishness

第12章 10th



『ちょっと待っててくれる?』

「ん?ああ、別に構わないが…」


不思議そうな顔をする彼をそのままに、スマホを持ってベッドから立ち上がり、玄関を出る。
そしてすぐにスマホを操作してお目当ての電話番号をタップする。

数回のコールで相手が出てくれた。


〈もしもし?〉

『もしもし、ミアです…』

〈どうしたの?〉

『早急にケリーさんに聞きたいことが出来まして…』

〈あら、何?彼と何か進展でもあった?〉


そう聞いてくるケリーさんの声は、声だけでも分かるほどにワクワクしているようだった。
ご期待に添えるかどうかは分からないけれど、わたしは『実は​──』と現状について軽く説明をした。


〈そういう時は男を立ててあげなさい〉

〈お金の面でちゃんとしようという貴女の心掛けはとっても素敵だと思うわ。けど相手が男性で、それも貴方が好きな人であるときは相手の厚意に乗っかっちゃいなさい〉

〈あまり厚意を無下にして無理にお金を出そうとすると相手のプライドを傷つけちゃったり、可愛くない女って思われることもあるわ。一概に絶対にそうとも言えないけれど、きっと彼は頼られたり男としてのプライドがあるタイプよ〉

『なるほど…』と返すと〈だって花束を用意するような男なんでしょ?〉と言っていた。それも関係あるの…?


〈じゃ、そろそろ戻ってあげなさい。待たせてるんでしょ?〉

『…ああ!そうなんです!すみません、急に電話で相談しちゃって…』

〈いいのよ!出られないこともあるかもしれないけど、そういう話、私好きだって言ったでしょ?また楽しみにしているわ〉


Bye.と言って電話を切る。


ふぅ、と深く息を吐く。

好きな人に嫌われたくない、そんな気持ちがわたしを余計に優柔不断にする。
行動一つ一つでどうしたら嫌われないか、考えてしまう。
奢る奢らない、なんて今回奢ってもらうんであれば次何かの時にわたしが奢ればいいだけの話。
だけど好かれたい気持ちが先行して、その態度は【正しい】のか気になる。そんな変な意識が働いて今まで通りの態度がとれなくなる。


意識しなければいいと思うんだけど、ふとした時に『あ、好きだな』とかきゅんとしてしまったりして意識が恋心へとスイッチされる。





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