【MARVEL】This is my selfishness
第8章 8th
「痩せすぎじゃないか?」
『違うよ、それ、メンズものでしょ?レディースのだったらちゃんと留めれるよ』
ほんとか?と言いながらバッキーは何処からか錐のようなものを持ってきて躊躇いもなく新たに穴を作った。
『えっ?!』
「ん?」
さもどうした?とでも言うように一瞬だけわたしを見て、そのまま何事も無かったかのように今しがた作られたばかりの穴に通し、ズボンのずり落ちを解決した。
『べ、ベルト……』
「穴が増えるくらいどうってことない。ここに増やしたところで使えなくなるわけじゃないしな」
そう言いながらバッキーはわたしの脇下に手を差し込み、持ち上げるようにしてソファーに座らせ、置いてあった大きなブランケットをわたし膝に置く。
「寝れそうか?」
『バッキーも横に来てくれたら』
ベッドがないということは、普段からこのソファーで寝てるはず。硬いところでも寝れるようだし、下手したら床にそのまま寝てるかもしれない。
あとソファーにわたしがあげたお下がりクッションがある。
ほっといたら床に寝そう。
そんなことされたら気がかりすぎて寝れない。
あと単純に、
『隣に居てくれたほうが、安心する』
バッキーは口を真一文字にしてボスン、とわたしの左隣に座った。
『…嫌だった?』
「いや、そうじゃない」
そう言いながらバッキーはわたしを引き寄せ、片手でブランケットを広げる。
『バッキー、足長いね』
「そうか?」
『ほら』
足先がかろうじて出ているのを見せると「体格の差だな」と笑いながら折り曲げて裾上げしてくれた。
広げたブランケットをわたしにしか掛けなかったからわたしがバッキーにも掛けた。2人でくっついているのもあってもうすでに中は暖かい。
『寝れそうだけど、寝れなさそう』
「ベッド買うか」
『ベッドは買ったほうがいいと思うけど、今は…なんていうか……疲れてるはずなのに精神的に高揚してるっていうのかな。体と気持ちがちぐはぐで……』
まだ少し、銃があてられていた胸に感覚が残ってる。
銃口は撃っていたせいか熱くて、でも銃口の周りは素材の影響なのか僅かに冷たかった。
火傷をしているのか、少しヒリヒリしている。