【MARVEL】This is my selfishness
第2章 2nd
クッキーを焼いてサンドイッチも作って、としていたらかなり時間がギリギリになってしまった。
先にテーブルの準備をしといて良かった。
後はサンドイッチを切るだけ、という時にベルが鳴った。
『は〜い!』と返事をしながらサッと手を洗い、タオルで手を拭きながら玄関へと向かう。
「今ちゃんと誰か確認してドア開いたか?…いいね、エプロン」
バッキーがわたしのエプロンを指差して口元に笑みを浮かべる。
それにちょこっとエプロンの裾を上げて応える。
『バッキーだと思って確認してなかった!訪ねてくる人も今のところあなた以外いないし』
特に親しい人がいた訳でもなかったから、以前住んでいた所の隣人達に引越しの挨拶をするくらいだったため、誰かにこの新しい引越し先を教えてもいない。
ああ、強いて言うなら仕事先には伝えたかな?
「それでも気をつけないと」
『うん、ありがと。上がって!』
部屋に戻ろうとすると「これ良かったら」と花束をもらった。
『わっ!くれるの?』
「ああ。お茶会の参加費とでも思ってくれ」
『ありがとう、早速飾るね』
受け取った花束を活ける花瓶を思い浮かべながら、バッキーを席へと促す。
『サンドイッチ、切っちゃうからちょっと待っててね』
サンドイッチがサクッと音を鳴らす。オーブンで焼いたパンの魅力的な音。
「もしかしてサンドイッチも作ったのか?」
『うん、甘いものしか準備してなかったから…バッキーが甘いもの好きかとかも聞いてなかったのに早とちりしちゃって』
「甘いものも嫌いじゃないしサンドイッチも嬉しいよ」
椅子に座ったバッキーをちらりと見ると、バッキーも嬉しそうにこちらを見ていた。
『コーヒーと紅茶を用意してるんだけどどっちがいい?……もしかして炭酸が良かった?』
生憎、わたしは普段から炭酸を飲むタイプじゃないからそもそも用意できていない。
「いや、大丈夫。コーヒーをブラックで」
『かしこまりました』
ちなみにわたしはコーヒーをブラックで飲めない。胃が痛くなる感じがする。
バッキーにコーヒーを、自分には紅茶を準備して花瓶に活けた花束と共にテーブルに持っていく。