第58章 情交 ※
その温かさに目を開けると、大きな身体にすっぽりと収まっていることに気付く。
見上げると、エルヴィンと目が合う。
なんて柔らかで、優しい目をしているんだろう。
「気が付いたか?」
「―――――あ……れ、私………。」
「果ててそのまま意識を飛ばしてたよ。潮まで吹いてね。良かったようでなによりだ。」
「………しお………?」
「無自覚なのか?こんなにシーツを濡らしたのに?」
「えっ………ご、ごめんなさい………。わ、わからなくて……。恥ずかしい、ことですか……?」
「ふふ。いや、俺は嬉しいよ。」
「あ、あと……その、エルヴィン団長……。」
「エルヴィン、だ。」
「―――――エルヴィン、は……いってない………ですよね……。」
「――――あぁまあ、よくあることだからな。慣れてる。いいよ。」
よくあること。その言葉にムッとする。
よくあるんだ。他の女性と。
なんだかとても悔しい。
「そんなにふくれて、どうした?」
「――――よくあることって………。私以外にもたくさん、こうやって抱いてきたんだと思うと………仕方ないけど、ちょっと嫌、です………。」
「――――それは大目に見て欲しいな。この行為の適齢期になってから何年経つと思ってるんだ。君はまだ数年だろうが、俺はもう20年近いんだぞ?ずっと自己処理では満足できない、人並み程度に性欲はあったからな。」