第58章 情交 ※
私をどうしてやろうかと企むそのエルヴィン団長の顔は、どこかで見た事がある。
―――――あぁそうだ。
ウォール・マリア奪還計画の構想をしていた、あの好奇に満ちた目に淫欲の色が加わって、それが毒々しく私を引きずり込んでいく。
――――――逃げられない。きっと。
「……おて、やわらかに………お願い、します………。」
「それは君次第だ。」
エルヴィン団長はふっと笑うと、私に覆いかぶさったまま私の額にキスをした。
そして私の片足を撫で上げると、足首を掴んでそれを顔に寄せた。
「やっ、待って、汚いので……やめ……っ……!」
「――――やめてと言われると興奮するな。」
まるでしゃぶるように、足の指の間に舌を這わせて丹念に舐められる。その初めての感覚と、調査兵団団長がまさか私の足を舐めるなんて光景が信じがたく、身体の芯からじわじわと何かが込み上げる。
「―――――はは、締まった。それに、蜜が溢れてきた。ナナも興奮しているのか。」
「威厳ある団長が、そんなこと、したら、だめです……っ……うぁっ……!」
「―――――俺は今ただのエルヴィン・スミスとしてナナを抱いてる。――――なぁナナ。呼んでくれ。団長、ではなく俺の名前を。一人の男として。」
「―――――エル、ヴィン………さん……。」
「呼び捨てでいい。」
「――――エルヴィン………。」
なぜかそれがすごく恥ずかしくて、両手で顔を覆う。
どんな顔をして相対していいのかわからない。
顔を覆った指の隙間からエルヴィンの顔を覗くと、眉を下げてとても嬉しそうに、柔らかに笑んでいた。
「―――――嬉しい、ナナ。」
「ん、くっ………ぁうっ………!」
先ほどよりも浅い場所で、一定の感覚で中を突かれる。