第5章 絶望
翌朝、私は目が覚めてすぐ、ハンジさんの姿を探した。ソファで寝る、と言っていたのに、そこに彼女の姿はなかった。
そんなに寝過ごしてしまったのだろうか……と慌てて身支度をしようと起き上がったとき、部屋のドアが開いた。
「あぁナナ、起きたの?よく眠れた?」
ハンジさんがトレイに乗った朝食を持って入って来た。
「はい、ありがとうございます。」
「これ、簡単なものだけど朝食置いておくね。食べたら、身支度だけしておいて。エルヴィンが帰ってる。会う段取りにしておくから!やっばい!!訓練に遅れる~っ!遅れるとリヴァイが怖いんだよ!!ごめん、私行くね!」
そう言って、ハンジさんは忙しそうに部屋から出て行った。
ハンジさんは約束通り、エルヴィン副団長と面会する時間を作ってくれた。午前の訓練が終わり、昼食のあと私はエルヴィン副団長の執務室に入ることを許された。
「やぁナナ。やっぱり、また会えた。」
エルヴィン副団長は、にこやかに私を見た。
「はい、再びお会いできて光栄です、エルヴィン副団長。」
私はエルヴィン副団長に深く一礼した。頭をあげるその時、エルヴィン副団長の机に浅く腰をかけ、脚を組んでこちらを見つめる鋭い視線にチラリと目線を送る。
「……あぁ、改めて彼も紹介しよう。調査兵団の全ての兵士の長として指揮をとる、リヴァイ兵士長だ。」
「兵士長……。」