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【進撃の巨人】片翼のきみと

第56章 事件




執務の為に団長室に向かう。

多くの兵士が束の間の自由時間を仲間と過ごすべく部屋を行き来する人込みの中で、私は腕を軽く引かれた。

振り向くとそこには、外出から戻ったばかりの様子のエルヴィン団長の姿があった。



「エルヴィン団長。今お戻りですか。」

「ああ。」

「ちょうど今から団長室に行こうと思って………。あ、お荷物お持ちしますよ。」

「すまない、ありがとう。」



私とエルヴィン団長は廊下を歩きながら話をする。



「――――今日はピクシス司令にお会いになっていたのですよね。」

「ああ、ついでに街で要り物の調達とね。」

「―――――なのでこの大荷物なのですね。」



私は沢山の荷物が入った紙袋を胸に抱えて、チラッと中身を見た。

その袋の中には、執務に必要なペンや便箋と封筒から、コーヒー豆や紅茶、酒のつまみまで様々なものが入っていた。



エルヴィン団長が団長室の鍵を開けて、扉を開けると―――――――その光景に私たちは驚愕した。







「――――――な………に…………?!」



「これは――――――どういう、ことだ………。」






バサバサとカーテンの揺れる開け放たれた窓と、ありとあらゆる引き出しが開けられ、書類や手紙など物があちこちに散らばっていて、明らかに物色された跡だ。

私は思わず手に持っていた紙袋を落とした。



「ご、ごめんなさい……っ!」



袋から転げ落ちたナッツ類や紅茶の茶葉を慌てて拾い集めながら、部屋の中をまじまじと見渡して、エルヴィン団長の横顔を見上げる。



「エ…ルヴィン団長………これ………!」

「―――――ああ、何事だろうな………。」



言い知れぬ不安を感じ、エルヴィン団長の後ろに隠れるようにしてその部屋に入る。

見回すと、明らかに荒らされた室内。

どうやらエルヴィン団長の私室まで荒らされているようだ。

その中で、戸棚の隅に見覚えのない琥珀色の液体の入った高級そうなお酒の瓶がそこに置いてあった。

エルヴィン団長は歩を進め、部屋の中に入ると、私に指示を出した。



「―――――ハンジとミケを呼んでくれるか。リヴァイは今日不在だからな。」

「は、はい……っ……!」



私は急いで団長室を後にした。

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