• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第55章 南方駐屯訓練兵団




「なんだよ、お前に関係ない………。」

「おおありなんだよ!!!!」



あたしの大声に、サッシュが驚いた顔をする。



「あたしにとってあんたは――――――………っ………。」



言いかけて拳を握りしめた。

この関係でいれば、きっとずっと、側にはいられる。

でも、言ってしまえば………0か100か、しかない。



「お前にとって俺は―――――なんだよ。」

「―――――――………一番身近な、馬鹿な……連れ………。」

「―――――は、言ってくれるな。馬鹿で悪いかよ。――――いつもそうだ。俺はから回ってばっかりで、いつだって―――――欲しいものは手に入らない。」

「―――――欲しがるものが、身の丈に合ってないんじゃないの。」



俯いたまま、口元だけふっと笑って皮肉を告げる。



「あ?やけに喧嘩腰だな。帰れよ、酒がまずくなる。」

「―――――あたしにしとけよ。」

「―――――……は?」

「―――――あんたみたいな馬鹿を好きでたまらないって物好きな女、きっとあたしぐらいなんだから。」

「なに、言ってんだお前……。」



もう引き返せない。

自由の翼のついたジャケットを脱いで、その場にすとん、と落とす。

あたしにとって女の象徴である長い黒髪の隙間から、サッシュを見つめる。サッシュは息を飲んで、まるで初めて相対する奴を警戒するように、あたしを見ている。

/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp