第55章 南方駐屯訓練兵団
「―――――アルミンが、言ったの……?」
「そうだ。あ、ちょうどアルミンが――――――。」
エレンが振り返った先には、片付けを終えたアルミンがこちらに駆けて来る姿があった。
「……ナナさん!今日は本当にありがとうございました……!」
「ううん。私も会えて嬉しかった。」
私は聞くべきじゃない。
アルミンやエレンを危険に晒すことになってもいいのか。
でも何か掴めそうで、心の中で激しく葛藤するけれど、私の頭にはエルヴィン団長の顔が浮かんでしまった。
「―――――ねぇアルミン、海を、知ってるの……?」
「え?……あ……、それは………。」
アルミンが口ごもった瞬間に、アルミンの背後からキース教官の鬼のような怒声が聞こえた。
「―――――アルレルト!!!!!!今日の貴様の立体機動は見てられないものだった!!!!来い!!!!!!」
「はっ、はいっっっ!!!」
「―――――――……………。」
「ご、ごめんなさいナナさん……、この話はまた今度……。」
「………うん………。」
私は呆然としたまま立ち尽くしていた。
そう、何かが――――――――わかりそうなんだ。何かが―――――――……。
「―――――ナナ?どうした?」
エレンが心配そうに私の顔を覗き込んだ。私はハッと我に返った。
「あっ、ごめんね、なんでもない。―――――……じゃあ、もう行かなきゃ………元気で……訓練、頑張ってね。エレン。ミカサ。」
「うん。」
エレンとミカサに別れを告げて、私たちは兵舎へ向けての岐路に着いた。