第54章 勧誘行脚
西方駐屯の訓練兵団を出立して、王都へ入る。
ここで宿を探す予定だったのだが、私は二人に提案した。
「―――――もし嫌じゃなければ、私の実家に―――――泊まったらどうかな?」
「えっいいの?」
「マジか?!ナナん家、すげー金持ちなんだろ!?」
嫌がるかな、と思いながら恐る恐る聞いたのだけど、2人はむしろとても喜んでくれた。
事前にハルにはその可能性を伝えていて、「来られるのなら張り切って夕食を準備します!」と返事をくれていた。私の大事な人同士が顔を合わせて、繋がることがすごく嬉しい。
「―――――すっげ………。」
「本当にお嬢様だったんだね………。」
日が落ちてからしばらくして実家に着いた。
サッシュさんとリンファは馬を繋いで、守衛から屋敷を仰いで一言漏らした。
「―――――お嬢様。」
「ハル!」
「――――おい、お嬢様だって。」
「本当にそう呼ばれてる子なんて初めて見た……。」
サッシュさんとリンファはなにやらひそひそと話をしているが、私はハルに駆け寄って抱き着いた。
数か月しか経っていないけど、やはり再会できることが嬉しくて。とても元気そうだ。