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【進撃の巨人】片翼のきみと

第54章 勧誘行脚




―――――西方駐屯 訓練兵団―――――――



活気溢れる若い兵士が、立体機動装置のいろはを学び、兵法を学び、兵士として育っていくその場所を、私は初めて見た。

簡素な建物の兵舎と、立体機動の初歩的訓練の装置から、実践に近い巨人の模型まである森も配した訓練場。

到着したその時にも、ちょうど朝の訓練が行われていた。立体機動の初歩を学んでいる初々しい子達は入団したばかりのようだ。

こんな風に、エレンやミカサ、アルミンも頑張っているんだ。

そして――――ここはまさにリンファとサッシュさんが学んだ場所。2人の過去を少し知れるような気がして、私は胸が弾んでいた。



まず与えられたのは今年が最後の1年になり、翌年には兵士として各団に配属されることになる102期生に向けて、兵法講義の途中で各10分ずつ、現在の職務内容や調査兵団の意義を訓練兵に伝えることだった。

リンファは冷静に、でも情熱を持って人類が巨人に対抗すべき意味を説き、そのための調査兵団だと力説した。

サッシュさんは壁の外の自由を伝えた。その自由を自分たちの手で取り戻す、ウォール・マリアを取り戻すことで、これからの人類やみんなの大切な人を守れると、伝えた。



私は―――――何を伝えよう。



ドキドキしながら、教壇に立つ。サッシュさんもリンファもスラッと長身で、鍛え抜かれた兵士であることが誰から見ても明らかであるのに比べて、小柄でなんの取り柄もなさそうな私が教壇に立ったからか、少し訓練兵たちがざわついた。




「―――――え、ちっさ……私たちと変わらなくない?」
「普通に好み……!可愛い……。」
「本当に調査兵団の人?」
「調査兵団って精鋭ぞろいだと思ってたけど…こんな人でも入れるんだ。」




まぁこういう反応はもう慣れたもので、ウォール・マリア奪還計画に向けた一般兵に向けての講義の時より幾分かはマシだ。

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