第53章 惜別 ※
「―――――リヴァ、イ、さん……?」
ナナが悩ましげに蕩けた目線で俺を見上げてその目を覗き込む。
「―――――あぁ、すまない。」
ナナの耳を飾るその石に触れる。
「―――――明日になったら、外すのか。」
俺の問に、ナナは首を横に振った。
「これは――――――私の身体の一部だから。外したくない………。」
妙な期待を残させやがって。
本当に悪い女だ。
そしてまた、ナナの最奥まで自身を埋めた。
「―――――ふ、あ………っ………。」
髪を乱して喘ぐその艶めかしさと美しさに眩暈がする。
いつの間にこんなに大きくなった。
俺を必要としないほど強く、美しくなったのだろう。
こんなに乱されるはずじゃなかった。
地下街に迷い込んできた、毛色の違う子猫を腕の中で温め、愛でる。10年前、それくらいのほんの小さな興味から始まった。
その大きな目に俺が映ると、自分がこの柔く綺麗なものを守るために生まれてきたんだと思うことができた。
「――――リヴァイさ、もっと……もっと……キス、して、もっと――――奥まで――――――……。」
俺の上で、白く柔らかな肢体を弓のように反らして喘ぐ。
俺の思考を奪っていくまがまがしいほどの色気は、普段のナナからは想像もつかない。
快感を追って定まらない焦点が俺の視線と交差すると、ナナは両手を伸ばして俺の首を引き寄せ、食らうように唇を貪る。
ナナの腰を掴んで引き寄せつつ、乱暴に最奥を貫く。
「――――煽るんじゃねぇよ……っ………!」