第53章 惜別 ※
性急にベルトを外して取り出されたリヴァイさん自身は脈動がわかりそうなほど固く張り詰めていた。
リヴァイさんは私の片足の膝裏を掴んで持ち上げ、それを一気に根元まで深く突き入れた。
「――――――っひ………っ……ぁあっ…………!」
「―――――は、慣らさなくてもすぐ入るな。この―――――淫乱が。」
容赦ない律動は、私の体内だけでなく思考までもぐちゃぐちゃにかき乱した。
「………う、あっ…、や、あぁっ………ぅくっ、………っ……!」
律動しながら私の身体の滴を舐めとるように舌を這わせ、固く立ち上がった胸の先端をぎり、と噛まれる。
その痛みに思わず声が漏れた。
「――――――いた、いっ………!」
「―――――なぁ、もう抱かれたのか?エルヴィンには。」
目の奥が笑わない微笑があまりにも冷たくてゾッとした。
同時に、ひどく悲しい。
「聞いてんだ、答えろ。良かったか?」
「――――っ…、いやっ…、して、な……っ……………!」
答えろと問うくせに、答えられない程に激しく突き入ってくる。
きっとこのソファの軋む音と、肉体同士が激しくぶつかる音を隣の部屋の彼に聞かせようとしている。
声を上げるわけにいかないと思うけれど、どうやったってねじ込まれる質量に比例して口から吐息と共に嬌声が漏れ出る。
「――――してなくても、これからこの肌を晒して―――――抱かれるんだろうが……っ……!」
「や……っ………あぁっ………!」
私が選択を突き付けた時に隠していた激情が今、隠しきれなくなりぶつけられる。リヴァイさんのその顔は眉間に深く皺が刻まれ、ひどく辛そうだ。
「―――――このまま誕生日なんて、来なきゃいい―――――。」
「――――………。」
私に覆いかぶさり身体を強く抱きしめて、掠れた消え入りそうな声で呟いた。
「一生俺だけのナナで、俺だけのエイルでいろよ…………。俺を、過去にするなよ。」
大人で優しい愛し方をしようとしてくれた彼の努力を私はまた無下にした。私はこの言葉を、きっと聞こえなかったことにしたほうが良かったんだ。