第1章 出会
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「お嬢様。今朝の朝食のお飲み物は、いつも通りでよろしいですか?」
「うん、おねがい。」
世話係のハルが、寝癖のついた私の髪をブラシで梳かしながら訪ねる。
「……それにしてもお嬢様の御髪は、いつみてもうっとりする美しさですね……プラチナブロンドと言うのでしょうか。銀色にも、金色にも光る艶やかな髪……。」
ハルはうっとりと私の髪に視線を落としている。
「や、やめてよハル……毎日見てるでしょ。」
「毎日見ていても、毎日美しいと思うのです。」
ハルは鏡越しににっこりほほ笑んだ。ハルは私を溺愛している。物心ついた時からハルは私の世話係として屋敷に住んでいた。
年は私よりも十ほど年上だが、年の割には小柄で、ブラウンのボブヘアーには程よい癖がありふわりとしていて、彼女の雰囲気とよく合っている。
「姉さん!!いつまで寝てるの?」
私の部屋のドアを勢いよく開けたのは、弟のロイだ。
「もう!ロイ、部屋に入る時にはノックをしてって毎日言っていると思うのだけど?」
鏡台の鏡越しに、ロイを冷ややかに一瞥した。
「だって、今日は久しぶりにお父様に会える日だよ!」
「そうね……。」