第1章 出会
気にならないというと嘘だった。
俺は、あのガキが通う理由を知るべく、翌月の木曜の早朝、ワーナーの家を訪れた。ドアを開けようとしたその瞬間、内側から勢いよくドアが開いた。
「エイル?!」
飛び出して来たのは、なにやら焦った様子のワーナーだ。
「……俺だ。」
「……リ…ヴァイか……」
「なんだ、慌てて。クソでも漏れそうなのか?」
冗談を言ったつもりだが、ワーナーの耳には入っていなかった。ひどく取り乱した様子で、きょろきょろとあたりを見回す。
「おい、どうした?」
「エイルが……来ないんだ……。出会って二年近く経つが、毎月最終の木曜日……彼女が来なかった日はない。なにか……あったのか……。」
今までの話から、あのガキがエイルだと理解した。
「落ち着けよ。用事ができたとか、腹がいてぇとかで来られなくなった可能性もあんだろ。」
「そう……そうだな……。」
ワーナーは自分に言い聞かせるように小さく呟くが、その手は小さく震えていた。自分に会いに来る途中にガキに何かあったとなりゃあ、乱れるのもわかる。
「入れ違いになると面倒だろ。仕方ねぇ……俺が見てきてやる。」
「リヴァイ……!頼む……!もし地下街にいなければ、時計塔だ。時計塔も見てきてくれ…!」
俺はワーナーの家から、最短距離で地上に出るルートを辿った。