第52章 盤上
「―――――告発、しますよ………っ………!」
私が涙目でエルヴィン団長を睨みつけて放った言葉に、エルヴィン団長の指がぴた、と止まり、その目が見開かれた。
「………ザックレー総統に、言いつけます………っ……!団長にいかがわしいことをされたって………っ……!!相応の覚悟があって、こんなことをされてるんですか………?!」
「―――――…………。」
エルヴィン団長は鳩が豆鉄砲を喰らったように制止して動かない。
相当堪えたのか、マズいと思ったのか。
私は乱れた息を整えて、顔を赤くしたまま睨み続けた。
「―――――っ………あはははははっっ!!!!」
次の瞬間、エルヴィン団長は今までに見た事が無いほど、腹を抱えるようにして大きな声で笑った。