第52章 盤上
「―――――私も、思い出します、必ず……もう一人のフリゲン・ハーレットにまつわる何かを……!」
「この3人が何を研究していたのか、その全ては記されていないにしろ、ワーナー氏の日記はもっと読み込む必要がありそうだ。また借りておいてもいいかな。熟読したい。」
「もちろんです。」
「――――幹部の中でも話はしておくに越したことがないとも思うが、なんせ内容がいまだに王政にとって禁忌とされているものだ。余計な危険を背負い込むことはない。確証を持って動けるようになるまでは、この件は私とナナだけに留めるように。」
「はい。」
エルヴィン団長はそっと手を差し出した。
まるで共闘の誓いのように、その手を握って固く握手を交わした。