第51章 西部調査
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部屋に戻ると、気を入れ替えて今回の調査内容と成果に目を通す。結果としてはエルヴィンとナナの予想通りと言ったところだ。
個体数も少なく、壁の破壊もない。
おそらく巨人は南のシガンシナ区からの流入のみだ。
ハンジ、ミケはどうだったのか。この調査内容が集まれば、今後ウォールマリアを塞ぐために動き出すかもしれない。
こんな小規模な調査で、仲間を死なせた罪悪感。
仲間を死なせたことを、誰かに赦して欲しかった。
誰かと言っても俺が自分を曝け出せる先などナナ以外になく、足が勝手にナナの部屋に向いていた。
あいつは思ったとおり察して、ただその弱音を受け入れてくれた。その鼓動を感じながら柔らかく温かい身体を抱き締めると、自分の中の荒んだ感情が落ち着いていく。
――――――ナナに自分で選べと言っておいて、卑怯この上ない。
ナナの成長とエルヴィンの力量を思い知る度に、こいつらが共に歩むことこそが兵団のため……いや、もっとデカい話だ。下手すりゃ人類の存亡にすら関わってくる。
自由を勝ち取る度胸と技量を備えたエルヴィンが求め続けても手に入れられなかった、同じ物を見て同じ目線で語れる―――――片翼になりうる存在は、ナナ以外にいないと断言できる。
ナナがエルヴィンを支えれば、この世界の真実をきっと暴くことができる。
俺はその日まで、こいつらを守る。
それが最も良い構図なんだろう。ナナもきっと、徐々にそれを感じ始めている。
だからこそ、よりエルヴィンに惹かれ初めている。