第51章 西部調査
フェアな関係性でいると言った。
あいつが選ばなくても、俺が愛せなくなったと言えばいい話だ。自ずとエルヴィンとうまくいくだろう。
だが言えない、それだけは。
愛しているという言葉じゃ足りないほど、ナナを想っている。
全てを捨て去ってナナと2人静かに暮らせたら―――――そんな妄想がよぎるが、それもできない。俺はエルヴィンに、この力を調査兵団で戦うことで、人類のために使うと誓った。
だから俺はナナにエルヴィンを選ばせようと――――凌辱してやると脅したのに―――――ナナはそれすら受け入れようとした。
そしてまた、俺の中にナナを誰にも渡したくないという自己中心的な欲が首をもたげてくる。
堂々巡りだ。
壁外に出ている間にそんなことを考えて、ぼんやりしてしまうなどあるまじき事だ。
あの時急襲されていたら、もっと多くの仲間が―――――ナナも、死んでいたかもしれない。
近いうちに俺達は決断することになる。
悔いの残らない道を選ぶことが、俺達にできるだろうか。