第51章 西部調査
リヴァイ兵士長のその少ない言葉で、どれほど救われただろう。
感極まるのはまだ早い。
沸き上がる涙を堪えて、負傷者の手当に向かった。
左手前方の班は、1名…イサークさんが奇行種に刺したアンカーからワイヤーを引かれ、地面に叩き付けられて食われた、と聞いた。
青い顔をしながら唇を震わせてその状況を語るのは、応援に駆け付けたバリスさんだ。
バリスさんもまた、吹き飛ばされた時の衝撃で、おそらく鎖骨、肋骨が何本か折れている。もう戦えない。
負傷者を乗せる荷台に彼を運ぶと、リヴァイ兵士長が彼を見舞った。
「―――――バリス、よく生きていた。」
「――――リヴァイ、兵士長……っ……!すみ、ま、せんっ……!俺、奇行種を……倒せ、なくて……っ!足を、引っ張って―――――……。」
バリスさんは涙が流れる顔を腕で隠しながら、悔しさを吐き出した。その様子を見るだけで、胸が痛い。
「――――お前たちが食い止めたから、俺が間に合った。お前たちが本隊を守った。恥じるな。……お前が生きてこれから更に強くなることで、イサークの死に意味を持たせられる。」
「――――――………っ……!」
「あとは帰るだけだ。心配せずそこで休んでろ。」
「………はい……っ………。」
なんてぶっきらぼうで、なんて抑揚のない言葉。
それなのに――――――こんなにも人の心を救ってくれる。
バリスさんは、これからリヴァイ兵士長の期待に応えるために、もっともっと強くなるのだろう。