• テキストサイズ

【進撃の巨人】片翼のきみと

第51章 西部調査




リヴァイ兵士長のその少ない言葉で、どれほど救われただろう。

感極まるのはまだ早い。

沸き上がる涙を堪えて、負傷者の手当に向かった。



左手前方の班は、1名…イサークさんが奇行種に刺したアンカーからワイヤーを引かれ、地面に叩き付けられて食われた、と聞いた。

青い顔をしながら唇を震わせてその状況を語るのは、応援に駆け付けたバリスさんだ。

バリスさんもまた、吹き飛ばされた時の衝撃で、おそらく鎖骨、肋骨が何本か折れている。もう戦えない。

負傷者を乗せる荷台に彼を運ぶと、リヴァイ兵士長が彼を見舞った。





「―――――バリス、よく生きていた。」



「――――リヴァイ、兵士長……っ……!すみ、ま、せんっ……!俺、奇行種を……倒せ、なくて……っ!足を、引っ張って―――――……。」





バリスさんは涙が流れる顔を腕で隠しながら、悔しさを吐き出した。その様子を見るだけで、胸が痛い。





「――――お前たちが食い止めたから、俺が間に合った。お前たちが本隊を守った。恥じるな。……お前が生きてこれから更に強くなることで、イサークの死に意味を持たせられる。」



「――――――………っ……!」



「あとは帰るだけだ。心配せずそこで休んでろ。」



「………はい……っ………。」





なんてぶっきらぼうで、なんて抑揚のない言葉。

それなのに――――――こんなにも人の心を救ってくれる。

バリスさんは、これからリヴァイ兵士長の期待に応えるために、もっともっと強くなるのだろう。

/ 3820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp