第51章 西部調査
「一時移動を中断する。」
リヴァイ兵士長の指示のもと、警戒体勢をとりつつ休息する。
私は負傷者の手当てと、これまで遭遇した巨人の詳細を聞き回りながらまとめなければならない。
優先すべきは手当だけど―――――と、辺りを見回していると、それを察したのかグンタさんが声をかけてくれた。
「――――手伝いますよ、ナナさん。」
「―――グンタさん。」
「ありがとう。じゃあ……左翼の人たちに声をかけて、遭遇した巨人の特徴を記録してもらえますか?」
「はい。」
「助かります。」
私がノートを手渡した時、横からリヴァイ兵士長が更に声をかけた。
「グンタ、ついでに奇行種におかしな動きがなかったかも聞いておけ。」
「……おかしな動き、ですか?」
「……知性を感じるような動きとかな。」
「そんな、ことが?」
「……いや、念のためだ。」
「わかりました。」
グンタさんは頷いて、聞き取りをすべく左翼の人たちのほうへ向かった。
「ナナ。」
「はい。」
「良い判断だった。」
「あ、ありがとうございます…。」
「――――戦えないことを、引け目に思うな。」
「…………!」
「お前にしかできないことがある。それを全うしている今回のお前の働きは悪くない。」
「……………。」
「お前が、必要だ。」
「…………!」
「帰りも頼むぞ。」
「………はい……っ………!」