第51章 西部調査
「動けない奴はいらない。ここで留守番してるか?」
「――――嫌です。」
「ならしっかりしろ。お前は今見るからに不安定だ。信用ならない。」
リヴァイ兵士長の言葉が次々に私に刺さる。
本当に、その通りだ。
隊を危険にさらす不安要素など連れて行きたくないに決まってる。
「――――リヴァイ兵士長、一つだけ聞かせてください。」
「――――あ?」
「――――この隊に、あなたに、私は必要ですか。」
リヴァイ兵士長は私の問に、真意を探るような目を向けた。
「――――それはてめぇ次第だ。不安定で足を引っ張るような状態でも必要だと言ってもらえると思うな。甘えんじゃねえ。」
「………はい。」
「行くのか、行かないのか。自分で選べ。」
厳しく、優しい。
自分で立ち上がれと言われたそれを思い出す。
どう御託を並べようとも、私はこの人が好きでたまらない。
役に立ちたい。
少しでも側にいたい。
必要とされたい。
今はただ、この人の片翼を担えるほどの自分になるんだと強く思いながら、この瞬間を生き抜くことだけを考える。
「――――行きます!!」
一際大きな声で心臓を捧げる敬礼をした。
リヴァイ兵士長は少しだけ驚いた顔をして、すぐに僅かに口角を上げ、私の頭を撫でて通り過ぎた。
「――――いい顔だ。頼むぞ、ナナ。」
「――――はい!」