第50章 悋気
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その日を境に、リヴァイさんは執務以外で私を部屋に呼ぶことはなくなった。
自分で選べと、言われているようだ。
『お前はどうしたい』問われたその答えをちゃんと出すために、リヴァイさんに依存せずに考える。
―――――無理矢理リヴァイさんに選ばせようとしたなんて、卑怯も甚だしいと自分でも嫌になる。
それからは2月の壁外調査の準備に、訓練以外の時間を全て費やした。愛だの恋だの考えている余裕すらない事が、ありがたかった。
「―――――あの、ナナさん!」
「あぁ、二ファ。どうしたの?」
私に話しかけて来たのは、101期生の二ファだ。
真っすぐで顎先までの赤毛が彼女の真っすぐさと賢さを印象付ける。
「すごく忙しそうにされているので、何かお手伝いはできませんか?」
「いいの?すごく助かる。ありがとう!」
二ファに壁外調査の各隊に預ける物資の数の確認を依頼した。
要点を的確に素早く理解し、頭の回転が早い。なにより、自分から出来ることがないかと買って出てくれた姿勢が嬉しかった。
「―――――今日は訓練でモブリットさんと一緒だったのですが。」
「ん?」
一緒に作業を進めていると、二ファが口を開いた。